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UPDATE :2023.03.09 
POST :2022.04.23

産業廃棄物とは?産廃処分を委託する前に知っておきたい種類のことから解説致します!

産業廃棄物とは?産廃処分を委託する前に知っておきたい種類のことから解説致します!

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じる廃棄物で、よく産廃と略されて呼ばれています。

1971年に法律で制定されて以来、さまざまな法改正を経ても、未だ産業廃棄物に関する疑問、課題は山盛りです。

「これは産業廃棄物なの?」「事務所から出た廃棄物なのに一般廃棄物って言われた」など実際処分する時に悩まれることもあるかと思います。

今回は、具体例、処分の流れ、業者の選び方を通して産業廃棄物をご紹介いたします。

 

 

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは?

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じたもので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で規定された20種類の廃棄物のことです。20種類とは、以下の通りです。

(1)燃え殻

(2)汚泥

(3)廃油

(4)廃酸

(5)廃アルカリ

(6)廃プラスチック類

(7)ゴムくず

(8)金属くず

(9)ガラス・コンクリート・陶磁器くず

(10)鉱さい

(11)がれき類

(12)ばいじん

(13)紙くず

(14)木くず

(15)繊維くず

(16)動物系固形不要物

(17)動植物性残さ

(18)動物のふん尿

(19)動物の死体

(20) 汚泥のコンクリート固形化物など、 (1)~(19)の産業廃棄物を処分するために処理したもので、 (1)~(19)に該当しないもの

なお、(13)〜(19)は、業種が特定されており、その業種に当てはまれば、産業廃棄物となります。

 

廃棄物の分類(産業廃棄物と一般廃棄物の違い)

廃棄物の分類(産業廃棄物と一般廃棄物の違い)

・産業廃棄物の概念

産業廃棄物は、量的、質的に環境汚染問題になり得るもの

・一般廃棄物の概念

一般廃棄物とは、人の日常生活から排出される廃棄物で質的、量的に環境汚染問題が少ないもの

法律では、事業活動に伴って生じたもので、規定された20種類に分類されるものが産業廃棄物と定められ、それ以外のものが、一般廃棄物と定められています。

ちなみに事業活動とは、製造業や建設業等に限定されるものではなく、オフィス、商店などの商業活動や水道事業、学校等の公共的事業も含め幅広い概念としてとらえられています。

産業廃棄物と一般廃棄物には、どのような違いがあるか下記の表でご確認ください

  産業廃棄物 一般廃棄物
処理責任 排出事業者 市町村*注①
処理業者の許可権者 都道府県知事及び政令市長 各市町村長
処理業者の数 多種多様 非常に少ない*注②
委託契約書の作成 必要 不要
許可業者への委託 必要 必要
産業廃棄物管理票の運用 必要 不要

 *注① ただし、事業系一般廃棄物については、排出事業者にあります

 *注② 各市町村の廃棄物処理計画で制限されています

 

産業廃棄物の種類

産業廃棄物の種類

産業廃棄物の20種類とその具体例を表にしています。

表の中では、「あらゆる事業活動に伴うもの」「特定の業種によるもの」と分けています。

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「特定の業種によるもの」は、一般的に「業種限定」と呼ばれています。

また、水銀を使用している製品、石綿含有の製品は、どの業種からでも産業廃棄物に該当します。

では、1つ1つ具体例を見ていきましょう。

  種類 具体例
(1) 燃え殻 廃活性炭、焼却炉の残灰など、各種焼却かす
(2) 汚泥 排水処理の汚泥、ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く)、 建設汚泥などの各種泥状物
(3) 廃油 グリス(潤滑油)、廃溶剤類など、鉱物性動植物性を問わず、 すべての廃油
(4) 廃酸 廃写真定着液など、有機性無機性を問わず、すべての酸性廃液
(5) 廃アルカリ 廃写真現像液、廃金属石けん液など、有機性無機性を問わず、 すべてのアルカリ性廃液
(6) 廃プラスチック類 発泡スチロールくず、合成繊維くずなど、固形状液状を問わず、 すべての合成高分子系化合物(合成ゴムを含む)
(7) ゴムくず 天然ゴムくず/注:合成ゴムくずは、廃プラスチック類
(8) 金属くず 鉄くず、アルミくず、不要となった金属、金属の研磨くず、 切削くずなど
(9) ガラスくず 板ガラス、耐火レンガくず、石膏ボードなどコンクリート製品 製造工程からのコンクリートくずなど
(10) 鉱さい 高炉・平炉・電気炉等溶解炉かす、不良石炭、粉灰かすなど 
(11) がれき類 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、 レンガの破片など 
(12) ばいじん 大気汚染防止法のばい煙発生施設、または産業廃棄物焼却施設 の集じん施設によって集められたばいじん 
(13) 紙くず 建設業、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、 出版業、製本業、印刷物加工業から発生する紙くず
(14) 木くず 建設業、木材又は木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材卸 売業、物品賃貸業から発生する木くず、おがくず、バーク類②貨物の流通のために使用したパレット※パレットを使用した物品を受け取った場合は、受け取った事業者(全ての業種)の責任処理 
(15) 繊維くず 建設業、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工場から発生す る天然繊維くず 
(16) 動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用した動物や植物に係る固形状の不要物 
(17) 動物系固形不用物 と畜場で解体等した獣畜や、食鳥処理場で処理した食鳥に係る 固形状の不要物
(18) 動物のふん尿 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどのふん尿
(19) 動物の死体 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどの死体
(20) 汚泥のコンクリート固形化物など、1~19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、1~19に該当しないもの 

 

産業廃棄物の処理の流れ

産業廃棄物の処理の流れ

産業廃棄物の処理の流れは、4つのステップです。

処理の手順

事業者にかかる様々な基準

事業者にかかる様々な基準

排出者が産業廃棄物処理をを排出する事業者が別の業者に委託して、その産業廃棄物を収集運搬、保管、処分をする場合、それぞれ廃棄物処理法で定める「収集運搬基準」「処理基準」「保管基準」「委託基準」を遵守しないといけません。

・産業廃棄物処理に関わる基準

廃棄物処理法第12条では、事業者が自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合でも、

産業廃棄物処理基準に従わなければなりません。

産業廃棄物処理基準は、以下のもので構成されています。

(1) 産業廃棄物の収集又は運搬の基準(廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号)

(2) 産業廃棄物の処分又は再生の基準(廃棄物処理法施行令第6条第1項第2号)

(3) 産業廃棄物保管基準(廃棄物処理法施行規則規則第8条)

(4) 産業廃棄物の埋立処分の基準(廃棄物処理法施行令第6条第1項第3号)

(5) 産業廃棄物の海洋投入処分の基準(廃棄物処理法施行令第6条第1項第4、5号)

 ※特別管理産業廃棄物の場合、

(1) 特別管理産業廃棄物の収集又は運搬の基準(廃棄物処理法施行令第6条の5第1項第1号)

(2) 特別管理産業廃棄物の処分又は再生の基準(廃棄物処理法施行令第6条の5第1項第2号)

(3) 特別管理産業廃棄物保管基準(廃棄物処理法施行規則規則第8条の13)

(4) 特別管理産業廃棄物の埋立処分の基準(廃棄物処理法施行令第6条の5第1項第3号)

(5) 特別管理産業廃棄物の海洋投入処分の基準<禁止>

・産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)委託に関わる基準

廃棄物処理法第12条第3項では、排出者が産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、

委託する産業廃棄物の処理が産業廃棄物処理業者、あるいは環境省令で定める者で、許可の「事業の範囲」に処分したい産業廃棄物の種類が含まれている業者に委託しないといけないとされています。

また、産業廃棄物を排出する際には、契約の締結、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付を行わないといけません。

産業廃棄物を取り巻く課題や問題

産業廃棄物を取り巻く課題

産業廃棄物に関する課題は、「廃棄物の減量化」「リサイクルの推進」「処理施設の確保」「適正処理の徹底」です。

社会環境の変化(人口減少,高齢化社会)への対応しながら、課題に立ち向かい、問題を解決していかなければなりません。

現状ある産業廃棄物に関する3つの問題をご紹介します。

1.不法投棄 

環境省によると2020年度に新たに判明した不法投棄事案は、

不法投棄件数139件(前年比-12件)、不法投棄量5.1万トン(前年比-2.5万トン)と、

前年比較しても減少傾向にありますが、未だこれだけの不法投棄事件が発生しています。

2.公害

例えば、産業廃棄物を焼却時にGHG(温室効果ガス)やダイオキシンが発生します。

これらは、自然環境や人体に悪い影響を与えます。日本では2009年以降産業廃棄物の量や

排出されるGHGがほぼ横ばいで推移しているため、使い捨てプラスチック量の削減や

バイオマスプラスチックの増加などの対策を講じていく必要があります。

大気汚染、水質汚染は、不適正処理や不法投棄から起因する例も過去にはありました。

3.最終処分の逼迫(ひっぱく)

2021年に環境省が発表した日本における最終処分場の残余年数は、21.4年です。

21.4年後には、日本でゴミを埋め立てる場所がなくなります。

作れば良いと考える方もあると思いますが、

最終処分場の新設には近隣住民の理解が不可欠です。

環境保全の観点から、汚水の外部流出や地下水汚染、廃棄物の飛散・流出、

ガスの発生、虫の発生等を防止するために設備や構造がしっかり整えなければ、

最終処分の許可はおりません。なので、周辺には迷惑のかからないように万全を期すこと

を説明しますが、すぐに近隣住民の理解を得ることは可能でしょうか?

海洋埋立も同様、漁協、水利権などが複雑に絡むため、

新たに新設は難しいとされています。

以上のことから、最終処分の逼迫が長年の課題とされています。

産業廃棄物のよくある質問

産業廃棄物のよくある質問

産業廃棄物の処理について規定している廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、

環境関連の法令の中でもとりわけ難解であると言われております。

排出者には、正く理解し、正く処分することが求められています。

日々弊社でも質問をたくさん頂戴しております。

お客様から頂くよくある質問を3つご紹介します。

Q:事務所から事務イス1台だけを処分したいのですが、これは産業廃棄物ですか?

→はい、産業廃棄物です。

事業活動に伴って発生した廃棄物で、業種と種類が当てはまれば、産業廃棄物です。

1つだから産業廃棄物ではないとは言えません。

法律上、最低量などは、定められていませんので、

1つでも契約締結し、マニフェスト交付を行なってください。

Q:マニフェスト、よくわからないので処理業者で書いてもらえますか?

→申し訳ございません、処理業者で書くことはできません。

不法投棄防止のためのマニフェストですので、必ず排出者の方が交付してください。

マニフェスト用紙は、処理業者や資源循環協会で販売しています

処分することが決まれば、手に入れておきましょう。

不明な箇所あれば、処理業者にお尋ねください。

Q:自社の車で運んで持って行っていいの?

→はい、大丈夫です。

排出者が自らの荷物を運搬するのに許可は必要ありませんので、車両をお持ちの場合は、

各処分場に持って行ってください。

但し、自らの荷物を運搬する際も運搬の基準を遵守してください。

処理業者の上⼿な選び⽅

処理業者の上手な選び方

いざ、産業廃棄物を処分する時に処理業者をどう選べば良いのか悩まれる担当者の方は多いかと思います。

各都道府県には、環境局や資源循環協会がありますので、相談すれば、廃棄物の種類に応じた業者を紹介してもらえます。

業者選びも排出者の責任です。

「許可を持っていれば」「料金が安ければ」のみで 選定するのは危険です!

選ぶ時に参考にしていただけるように「これだけは」の必須ポイント2個と、

「あれば良いな」のプラスポイント5個をご紹介します。

☆必須ポイント

①他人の産業廃棄物の運搬又は処分を業として行うことができる者であること

A:運ぶ業者(収集運搬業者)

B:処分する業者(処分業者)

*AとBは同じ業者でも問題ありません

委託しようとする産業廃棄物の種類がその事業の範囲に含まれている者であること

☆プラスポイント

①廃棄物処理フローがしっかりしている

②料金が明示されている

③ISOやエコアクション21等の認証機関による認証を取得している

④許可証に優良マークがついている

⑤現地見学を行っている

必須ポイントには、そんなん当たり前やん!ってことを記載していますが、これを見逃すと法律に違反してしまうかもしれません。

必ず確認してください。

また、各処理業者は、情報開示を行なっています。

もし、わからなければ問い合わせて聞いてみてください。

まとめ

まとめ

産業廃棄物処理に関しては、排出者責任に重きをおかれています。

人が生きていく環境を守るため廃棄物処理には、たくさんの法律が絡んでいるんです

法律に違反していないかと心配して悩まれることも多々あるかと思います。

そんな時は、ご利用されている業廃棄物処理業者にご相談ください。

排出者と処理業者のコミュニケーションが適正処理につながります。

そして、適正な処理をすることで不法投棄などの問題は無くなります。

これも環境を守る活動ですね。

これまでは目の前から無くなれば良かったのですが、持続可能な社会のため

再利用できるもの、再資源化できるものは、排出者が積極的に分別を行い、

産業廃棄物として処分するものを減らし環境に優しい事業活動を行なっていきましょう。

 

解説動画を公開しております。

ご利用ください。

 

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この記事を書いたスタッフ

樋下香織

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