「サーマルリサイクル」という言葉を聞いて具体的にはどういった処理をしているかお分かりになりますでしょうか?
「サーマルリサイクル」とは、廃棄物を焼却するときに発生する「熱エネルギー」を回収して再利用する方法です。
85%もの高いリサイクル率を誇る日本。そのリサイクル処理の中には「サーマルリサイクル」と呼ばれる処理も含まれております。
今回は、「サーマルリサイクル」についてご紹介いたします。
サーマルリサイクルとは
「サーマルリサイクル」とは、廃棄物を焼却するときに発生する「熱エネルギー」を回収して再利用するリサイクル方法です。
回収された熱エネルギーは発電、周辺施設の暖房や温水供給に使われます。具体的な事例としては、大阪広域環境施設組合のゴミ焼却工場では、ボイラーで作った蒸気を工場内の暖房や給湯に利用するとともに、蒸気タービン発電機で発電し、工場の運転に利用しています。さらに近隣施設への蒸気供給や発電した電気を電気事業者へ売却しています。
その他の事例としては、新潟県柏崎に拠点を置く産業廃棄物処理業者のシモダ産業株式会社様では、廃棄物処理の際に出る排熱を利用し、国産バナナブランド「越後バナーナ」を栽培しています。
また廃棄物をRPF等の燃料に加工する処理法も「サーマルリサイクル」に含まれます。
リサイクルという言葉を聞くと多くの人は廃棄物を加工し、再び製品の原料として使う「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」を想像するのではないでしょうか?
廃棄物を焼却処理する「サーマルリサイクル」は、リサイクルと聞いて連想する処理とは違うと感じる方も多いかも知れません。
実際に一部の国では「サーマルリサイクル」はリサイクル方法として認められていません。
しかしそんな「サーマルリサイクル」にもメリットはあります。
サーマルリサイクルのメリット
サーマルリサイクルのメリットは以下のようなものが挙げられます。
・資源消費の削減
サーマルリサイクルの資源は当然ゴミです。特に廃プラスチック類はカロリーが高く、紙ごみの数倍にもなり、石炭や石油に匹敵する発熱量を持っています。ゴミを燃料として利用することで石炭・石油という貴重な資源を節約することが出来ます。
・埋立処分場の延命
国土の狭い日本の場合埋立地の残量は重大な問題です。ゴミの中には埋立するしかないものもありますが、先に焼却することによってかさを減らすことができます。
・メタンガスの削減
プラスチックが劣化すると、温室効果ガスのひとつであるメタンガスが発生します。プラスチックを焼却し、灰にすることによってメタンガスの発生を抑制することが出来ます。
メリットだけ書くといいことづくめな気もしてきますが、一部の国ではリサイクル方法として認められていない「サーマルリサイクル」。
当然マイナス面もあります。
サーマルリサイクルのデメリット
・有害物質の発生
ゴミを燃やすと必ず出るのがダイオキシンをはじめとする有害物質を含む排気ガス。高温で焼却することによりダイオキシンも分解は可能ですが、完全にゼロになる訳ではありません。
・二酸化炭素を排出
メタンガスの発生は抑制できてもゴミを燃やすのでどうしても二酸化炭素は発生します。
サーマルリサイクルのこれから
そもそもの廃棄物の削減(リデュース)や、「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」の比率を上げていくことが望ましいですが、ゴミの多くはこれらのリサイクル処理をし易いような分別はされておりません。日本の狭い国土という問題もあり、焼却せざるを得ないゴミに関しては「サーマルリサイクル」で熱エネルギーに変換していくのが望ましいように思われます。そのためにもより効率がよく環境負担が少ないように技術の向上が不可欠です。
まとめ
日本で主流になっているリサイクル法である「サーマルリサイクル」。
「サーマルリサイクル」のメリット、デメリットについてご理解いただけたでしょうか?
何事にも一長一短はあると思います。廃棄物の特性に見合ったリサイクル方法で対処していきたいですね。
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