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フラフ燃料マメ知識

UPDATE :2024.08.09 
POST :2023.10.07

フラフ燃料とは?メリット・デメリットについて解説します!

昨今、以前にも増してフラフ燃料という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか?フラフ燃料は廃プラスチック類等産業廃棄物を主とするエネルギー資源であり、セメント会社、製紙会社、製鉄会社を中心にCO2排出を削減するための手段として、積極的な利用が進められています。

産業廃棄物とは?

はじめに産業廃棄物について概要をお話します。

産業廃棄物とは、産業活動に伴って生じた廃棄物のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で定義された20種類の廃棄物のことを指します。この産業廃棄物の処理は、都道府県知事から許可を受けた産業廃棄物処理者に委託して処理をする必要があります。

産業廃棄物は、環境汚染や健康被害、生態系への悪影響などの原因となるため、適正に処理することが重要です。

また、産業廃棄物には量に関する規定がありません。そのため、排出量が少なかったとしても必ず適正な処理方法で処理しなければなりません。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」とは?

廃棄物処理法は、廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。産業廃棄物を排出する事業者は、その処理・保管・運搬などについて、廃棄物処理法に基づく各種基準を遵守しなければなりません。廃棄物処理法は、昭和45年(1970年)に制定され、今日でもなお、廃棄物問題の解決に向けて重要な役割を果たしています。

産業廃棄物の排出事業者は、自らの責任で処理しなければなりません。処理できない場合は、業者に委託することができます。委託の際には、委託基準に則った契約を結び、マニフェストを使用して管理する必要があります。

廃棄物問題は現在もなお深刻な問題であり、廃棄物処理法の更なる充実が求められています。そのためには、私たち一人一人が、廃棄物の排出を抑制し、適切に処理することが必要です。

産業廃棄物の廃プラスチック類とは

私たちの生活に身近でさまざまな用途のものがあるプラスチック製品。こうしたプラスチックを製造する過程で生じるプラスチックの破片や、不要になって廃棄処分されるプラスチック製品を産業廃棄物用語では「廃プラスチック類」といいます。

まずは、廃プラスチック類とは一体どのような産業廃棄物を指すのか、その定義や具体例について見て行きましょう。

廃プラスチックの具体例

廃プラスチック類の具体例は、「合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物」とされています。

この表記では少々イメージがしづらい部分もあると思いますが、例えばコンテナケース、ビニール袋、発泡スチロール、包装やフィルム類など、材料にプラスチックが含まれているものは、基本的には廃プラスチック類に分類されると思って問題ないでしょう。

廃プラスチック問題

廃プラスチックは、環境問題への注目などの影響もあり、他の産業廃棄物に比べても大きな課題を抱えているものの一つです。代表的な廃プラスチック問題を紹介します。

輸出処理

廃プラスチック問題の代表的なものの一つが、輸出処理です。廃プラスチックの処理の方法として、日本では長年海外への輸出を行っていました。その主な輸出先が中国だったのですが、2017年末に中国が廃プラスチックの輸入を禁止しました。その後は、中国の代わりとして、台湾や東南アジアへ輸出を行っていましたが、これらの国々も次々に輸入規制を導入。輸出という大きな処理方法を失ったことにより、日本国内で処理をしなければならない廃プラスチックが増加しており、その対応が大きな課題となっています。

海洋汚染

廃プラスチックに関するもう一つの問題が、海洋汚染です。ポイ捨てされたり適切な処分がされないまま海に流されたりした廃プラスチックは、海洋プラスチックとなり、海洋汚染や生態系に悪影響を及ぼしてしまいます。海に流出するプラスチックごみの量は、世界中で年間800万トンという試算が出ていたり、2050年には海洋プラスチックごみの重量が海に住む魚の重量を超えると予測されていたり、非常に大きな問題として、世界規模の課題となっています。

廃プラスチック類の処理方法

廃プラスチック類の処理の方法には、大きく3つの種類があります。それぞれ紹介していきましょう。

マテリアルリサイクル

廃プラスチック類の材質を活かして、他の製品や別のプラスチック材料として活用する方法が、マテリアルリサイクルです。

衣類や包装用トレイ、コンテナやベンチなどを作る材料として、廃プラスチック類が活用されています。

ケミカルリサイクル

廃プラスチックを化学的に処理し、化学原料として再生する方法が、ケミカルリサイクルです。

高炉の還元剤や熱源として利用されたり、ガス化処理をして水素やメタノールなどの基礎化学品を作ったり、さまざまな方法で活用されています。

サーマルリサイクル

廃プラスチック類の熱エネルギーとしての性質に注目し、熱源として利用する方法が、サーマルリサイクルです。

廃プラスチック類を燃焼させることによって発電や温水利用に活用したり、RPFやフラフといった固形燃料化にしたりなど、数多くの活用手段があります。

RPFとは

RPF とはRefuse Paper & Plastic Fuel の略で、「紙くずと廃プラスチックの燃料」という意味です。その意味そのまま、それらの廃棄物を混合して小さく固めて製造されており、石炭の代替となる燃料として工場の熱源や発電用途などに使用されています。

RPFは廃棄物から造られるリサイクル燃料にもかかわらず、発熱量の多さとCO2抑制効果の高さなど、様々な点で石炭以上のパフォーマンスを発揮しており、重宝されています。

以下がRPFの特徴となります。

  • 発熱量…石炭と同等の発熱量
  • CO2排出量…石炭の2/3の排出量
  • 焼却後残さの量…元の5%、石炭の半分以下
  • 焼却後残さの処分…石炭は難しいが、RPFの焼却残渣は路盤材化できる
  • 価格…石炭の約半分の値段で取引されている
  • 発熱量の調整が容易

以上が主なメリットですが、デメリットとしては

  • 生産量がごみの排出量に大きく左右されてしまう
  • 塩素系プラスチックを燃焼させるとダイオキシンまたは塩素系ガスといった有害発生してしまう
  • 廃プラスチックと古紙の組成比率に偏りがあると生成できない
  • 汚れがひどいなど質の低いプラスチックはRPF化に向いておらず、材料として使える廃プラスチックは限られている

といったものがあります。

フラフ燃料とは

国際的に高まっている「脱プラスチック」の一環で、廃プラの利用先として注目されているのが、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)やフラフと呼ばれる燃料です。

環境省は「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」の中で廃プラスチック類について、まず発生抑制を、次に再生利用を推進し、なお残るものについて、直接埋立を行わず、熱回収を行うことが適当であるとしました。
そこで注目されているのが廃プラスチック燃料です。

プラスチックは石油を原料に作られており、化石燃料に匹敵するくらい熱量が高いため、化石燃料の代替として使用することでCO2排出量の削減にも貢献します。

フラフ燃料(フラフ化廃プラスチック燃料)とは、廃プラスチック、紙くず、繊維くずを破砕・圧縮し、燃料化したものです。

フラフとRPFの違い

同じ代替燃料であるRPF(Refuse paper & Plastic Fuel)と違い製造時に熱を加えないため、環境負荷がより低い燃料と言えます。また、化石燃料とほぼ変わらない熱量を持ちながら、燃焼時のCO2排出量は化石燃料使用時に比べて約20%削減できます。

フラフ燃料の現状

現在、ヨーロッパのセメント会社ではエネルギー供給の平均約60-70%が代替燃料によって賄われているとのことです。

一方で、日本では代替燃料の利用割合は20%程度です。日本で一番代替エネルギー率が高いといわれるセメント工場でも55%程度ですので、エネルギー代替が進んでいる欧州の工場と比較すると、まだまだ代替率を上げられるというのが日本の現状です。ヨーロッパでは、国や地域を挙げて代替エネルギー率を高めていくという気運があります。

フラフ燃料の使用率を上げていく上での課題

ヨーロッパと比較するとまだまだ代替エネルギー率の低い日本ですが、フラフ燃料の利用は着実に前進しています。各セメント会社も、化石燃料由来のエネルギーの代替として積極的にフラフ燃料の活用を進めており、そのための具体的な数値目標も掲げています。各社のニュースリリース等にそのような情報が記載されています。

フラフ燃料を一気に増やしたいところですが、課題もあります。一番大きな課題は、フラフ燃料に含有する「塩素濃度」です。高濃度の塩素が含まれるとセメント製造設備内部の腐食が進行するため、極力低い方が好ましいとされています。正式なボーダーラインは各社、各工場によって、異なっておりますが、目安は3,000〜5,000ppm(0.3〜0.5%)とされており、フラフ燃料の使用率を上げていく上で、課題となっています。

フラフ燃料の使用方法

製造されたフラフ燃料は、廃棄物処理業者から全国各地のセメント工場に輸送しやすくするために、1,100mm角のベール状態に梱包されます。

例えば10トンのウイング車であれば、最大24個積載することが可能です。このフラフ燃料は、セメント製造プロセスにおける、「焼成」という工程で使用されます。

輸送効率を上げるためにベール状にした荷姿を、破砕機、もしくは、解砕機で、破砕・解砕し、改めてバラバラの状態にします。このフラフ燃料を一旦サイロに貯蔵し、一定量ずつ切り出します。

焼成工程では、ロータリーキルンと呼ばれる高温に熱されている窯の中を、セメント原料が通過します。そのバーニングゾーンと呼ばれる部分では、約1,450度を維持する必要があり、メインバーナーの炎が上がる部分では、その温度は約2,200度にも達します。従来、この部分には、微粉炭(石炭を細かくしたもの)が使用されていました。

CO2排出量を減らすために、石炭からフラフ燃料に置き換えるということが、昨今、日本全国、そして、全世界を取り巻いている大きなムーブメントになっています。これは世界規模で2050年のカーボンニュートラルを実現しようとしている動きとみて取れます。

フラフ燃料の未来

現在、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、世界中で化石燃料由来の燃料の削減が進んでいます。廃棄物は、世の中のほとんどの人にとっては、不要なものとして扱われているかもしれませんが、間違いなく、立派な資源となっています。そして、その重要性は以前にも増してきています。

試算では、セメント業界だけの代替エネルギー(化石燃料由来ではないエネルギー)の需要が、年間160万トン程度必要とされていると考えています。

一方で、今後きれいな廃プラスチックは益々、「ケミカル・リサイクル」や「マテリアル・リサイクル」にもまわっていき、従来、フラフ燃料に使用されていたプラスチックもそちらにまわっていくことが想像できます。

そうなってくると、今までは、埋立や焼却にまわっていた廃プラスチックが上流のフラフ燃料にまわってくると考えています。日本国内では、未利用(単純焼却、埋立て)と呼ばれる廃プラスチックが、173万トン/年間あると言われています。

このようにして、これらの廃プラスチックは「エネルギー・リカバリー」に貢献していくということを私たちは考えています。セメント業界のみならず、製紙業界、製鉄業界からもフラフ燃料が注目を浴びており、まさに廃プラスチック争奪戦の様相があります。この傾向は、今後益々高まっていくのではないでしょうか。

まとめ

お分かり頂けましたでしょうか?

RPFやフラフといった産業廃棄物を加工して作られる代替燃料は、脱炭素社会に欠かせない新燃料ということになりますね。

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この記事を書いたスタッフ

森田 一誠

森田 一誠 笑う産廃セールスマン

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