今年も残すところあと数日となりました。
年末とは特に関係ない本コラム、今回は産業廃棄物でも一般廃棄物でもないのに廃棄物処理法によって規定されている「有害使用済機器」を紹介したいと思います。
まずはおさらいとして産業廃棄物とは何かを見ていきましょう。
目次
産業廃棄物とは?
はじめに産業廃棄物について概要をお話します。
産業廃棄物とは、産業活動に伴って生じた廃棄物のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で定義された20種類の廃棄物のことを指します。この産業廃棄物の処理は、都道府県知事から許可を受けた産業廃棄物処理者に委託して処理をする必要があります。
産業廃棄物は、環境汚染や健康被害、生態系への悪影響などの原因となるため、適正に処理することが重要です。
また、産業廃棄物には量に関する規定がありません。そのため、排出量が少なかったとしても必ず適正な処理方法で処理しなければなりません。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」とは?
廃棄物処理法は、廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。産業廃棄物を排出する事業者は、その処理・保管・運搬などについて、廃棄物処理法に基づく各種基準を遵守しなければなりません。廃棄物処理法は、昭和45年(1970年)に制定され、今日でもなお、廃棄物問題の解決に向けて重要な役割を果たしています。
産業廃棄物の排出事業者は、自らの責任で処理しなければなりません。処理できない場合は、業者に委託することができます。委託の際には、委託基準に則った契約を結び、マニフェストを使用して管理する必要があります。
廃棄物問題は現在もなお深刻な問題であり、廃棄物処理法の更なる充実が求められています。そのためには、私たち一人一人が廃棄物の排出を抑制し、適切に処理することが必要です。
有害使用済機器の概要
本来の用途での使用を終了した電気電子機器等が、雑多なものと混ぜられた金属スクラップ(いわゆる雑品スプラップ)などの形でぞんざいに取り扱われることにより、保管中のスクラップヤードでの火災発生や内部に含まれる有害物質の飛散流出等、生活環境保全上の支障が生じるおそれがあります。これらの問題に対応するため、廃棄物処理法では廃棄物以外の使用済機器のうち、不適正な取扱いがなされた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものを「有害使用済機器」として定め、その保管、処分又は再生を業として行う事業者に対して届出義務や処理基準の遵守義務等を設けています。
有害使用済機器とは
有害使用済機器とは、使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうちその一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのあるもので、下表に掲げるものが該当します。
(注)リユース品や修理して再度使用する機器は除きます。下表の機器の付属品も対象になります。また家庭用機器に加え、同様の構造を持つ業務用機器も対象です。
対象となる有害使用済機器の一覧
- ユニット形エアコンディショナー
(ウィンド形エアコンディショナー又は室内ユニットが壁掛け形若しくは床置き形であるセパレート形エアコンディショナーに限る。) - 電気冷蔵庫及び電気冷凍庫
- 電気洗濯機及び衣類乾燥機
- テレビジョン受信機のうち、次に掲げるもの
(イ)プラズマ式のもの及び液晶式のもの(電源として一次電池又は蓄電池を使用しないものに限り、建築物に組み込むことができるように設計したものを除く。)
(ロ)ブラウン管式のもの - 電動ミシン
- 電気グラインダー、電気ドリルその他の電動工具
- 電子式卓上計算機その他の事務用電気機械器具
- ヘルスメーターその他の計量用又は測定用の電気機械器具
- 電動式吸入器その他の医療用電気機械器具
- フィルムカメラ
- 磁気ディスク装置、光ディスク装置その他の記憶用電気機械器具
- ジャー炊飯器、電子レンジその他の台所用電気機械器具(2に掲げるものを除く。)
- 扇風機、電気除湿機その他の空調用電気機械器具(1に掲げるものを除く)
- 電気アイロン、電気掃除機その他の衣料用又は衛生用の電気機械器具(3に掲げるものを除く)
- 電気こたつ、電気ストーブその他の保温用電気機械器具
- ヘアドライヤー、電気かみそりその他の理容用電気機械器具
- 電気マッサージ器
- ランニングマシンその他の運動用電気機械器具
- 電気芝刈機その他の園芸用電気機械器具
- 蛍光灯器具その他の電気照明器具
- 電話機、ファクシミリ装置その他の有線通信機械器具
- 携帯電話端末、PHS端末その他の無線通信機械器具
- ラジオ受信機及びテレビジョン受信機(4に掲げるものを除く。)
- デジタルカメラ、ビデオカメラ、ディー・ブイ・ディー・レコーダーその他の映像用電気機械器具
- デジタルオーディオプレーヤー、ステレオセットその他の電気音響機械器具
- パーソナルコンピュータ
- プリンターその他の印刷用電気機械器具
- ディスプレイその他の表示用電気機械器具
- 電子書籍端末
- 電子時計及び電気時計
- 電子楽器及び電気楽器
- ゲーム機その他の電子玩具及び電動式玩具
有害使用済機器の保管等の届出について
届出が必要な場合 | 届出の種類 | 提出時期 |
---|---|---|
有害使用済機器の保管、処分又は再生を業として行おうとする場合 | 保管等の届出 |
保管、処分又は再生の事業を開始する日の10日前まで |
改正法の施行日(平成30年4月1日)に、既に有害使用済機器の保管、処分又は再生を業として行っていた場合 | 保管等の届出 | 平成30年10月1日まで |
届け出た事項を変更する場合(個人の場合は住民票、法人の場合登記事項証明書にかかる変更の場合を除く。) |
変更届出 | 変更の日の10日前まで |
届け出た事項を変更する場合(個人の場合は住民票、法人の場合登記事項証明書にかかる変更をする場合) | 変更届出 | 変更後速やかに |
有害使用済機器の保管、処分又は再生の事業の一部又は全部を廃止した場合 | 廃止届出 | 廃止日から10日以内 |
届出除外対象者
有害使用済機器の保管、処分又は再生を業として行おうとする者が以下のいずれかに該当する場合、届出は不要です。
- 有害使用済機器の対象品目が廃棄物となったものの処理(保管、処分又は再生を業として行おうとするときは、それぞれ保管、処分又は再生)に係る廃棄物処理法、家電リサイクル法又は小型家電リサイクル法に基づく許可等を受けた者(当該許可等に係る事業場において有害使用済機器の保管、処分又は再生を業として行おうとする場合に限る)
- 市町村、都道府県、国
- 有害使用済機器の保管、処分又は再生の用に供する事業場(二以上の事業場を有する者にあっては、各事業場)の敷地面積が100平方メートルを超えないものを設置する場合
- 有害使用済機器の保管、処分又は再生以外の事業をその本来の業務として行う場合であって、当該本来の業務に付随して有害使用済機器の保管のみを一時的に行う者(不良品等の処分を行うために、本業に付随して一時保管を行う製造業者、販売業者等)
Q&A
Q1.リユース品(再使用可能な製品)の買取・整備・販売等を行う業者も届出が必要か。
A1.リユース品のみを取り扱う場合は、有害使用済機器保管等業者に該当しないため、届出は不要です。
ただし、使用を終了した機器の取扱いも事業目的とする等、有害使用済機器の保管又は処分も本来の業務として行うものと判断される場合は届出が必要です。
※ 法第17条の2第1項において、有害使用済機器は「使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの」と規定されています。
その機器本来の用途で再使用される機器は同項の「使用を終了した」ものではないことから、有害使用済機器ではないため、使用が可能な機器のみを取り扱う事業者は本制度の届出対象にはなりません。
Q2.引き受けた金属スクラップの中に有害使用済機器が混入していた場合で、展開・確認に時間がかかるなどして受付拒否や返品が難しい場合、届出が必要か。
A2.有害使用済機器の受入れを行っていない旨を排出者に対して事前に明示的に伝えておくことを推奨します。それでも有害使用済機器が反復継続して混入し、保管又は処分を行う場合には、有害使用済機器の保管又は処分を業として行っていると解されるため、届出及び有害使用済機器の保管・処分の基準の遵守が必要となります。
Q3.家電製品を販売した際、商品と引き替えに使用済みの製品を下取りすることがある。届出が必要か。
A3.下取りされた使用済製品に関しては、下取りをした者が排出者となるため届出は不要です。
Q4.有害使用済機器を解体する場合は、保管と処分どちらの届出が必要になるのか。
A4.保管に付随する解体(手解体を含む。)の場合は保管の届出、処分に付随する解体の場合は保管及び処分の届出が必要となります。
Q5.200平米の事業場のうち、50平米の保管場所で有害使用済機器の保管を行っている。保管場所が100平米を超えないので届出不要か。
A5.届出が必要です。事業場全体の面積が100平米を超えない場合に届出不要となります。
Q6.有害使用済機器の回収は、届出なしで行うことができるのか。
A6.有害使用済機器の収集運搬については、届出の必要はありませんが、回収後に業として行われる保管又は処分については届出が必要になります。なお、回収した物品の性状等によっては廃棄物の無許可収集運搬に該当するおそれがあり、その場合は罰則等の対象となります。
Q7.産業廃棄物処理業等の許可等(金属又はプラスチックを主として含む廃棄物の処理に係る許可等)を受けている事業場内であれば、どこでも有害使用済機器の保管を行ってよいか。
A7.産業廃棄物処理業等の許可等(金属又はプラスチックを主として含む廃棄物の処理に係る許可等)を受けている事業場については、適正な保管が見込まれることから届出不要としているものですので、有害使用済機器の保管基準を参考にするなど、生活環境保全上の支障が生じないよう適正な保管ができる場所で取り扱うべきであると考えられます。
Q8.有害使用済機器を屋内で保管又は処分する場合でも、地下浸透防止措置等を講じる必要があるか。
A8.汚水が生ずるおそれがある場合は屋内で保管又は処分する場合にあっても地下水汚染の防止等の措置を講じる必要があります。
Q9.不燃性の容器を用いて有害使用済機器の保管を行う場合も、2mの離隔距離を設ける必要があるのか。
A9.構造耐力上安全な金属製の容器等の不燃性の容器が仕切りの役割を果たす場合は、離隔距離を設けていただく必要はありません。
Q10.廃棄物と有害使用済機器の帳簿は別々につけなければならないのか。
A10.共通の帳簿とすること自体は問題ありませんが、それぞれの処理における必要な記載事項を記録するとともに、廃棄物及び有害使用済機器の処理について正確に把握できるようにする必要があります。適正に処理を行ったことを明らかにするものですので、明確かつ分かりやすく記載いただくことが望ましいと考えられます。
Q11.産業廃棄物と有害使用済機器をまとめて処理委託し、マニフェストにもまとめて記載したいが問題ないか。
A11.産業廃棄物に係る委託契約やマニフェストの内容が不明確となるため、避けてください。なお、産業廃棄物と政令第16条の2に規定する品目(有害使用済機器対象品目)をまとめて処理委託する場合、有害使用済機器対象品目は全体として廃棄物として取り扱われ、有害使用済機器に該当しないと考えられます。
Q12.排出者が無届の業者に有害使用済機器を引き渡した場合、当該排出者は罰則や命令の対象となるのか。
A12.有害使用済機器の排出者に対する罰則や命令の適用はありませんが、無届で有害使用済機器の保管や処分を行う業者は罰則や命令の対象となりますので、届出済みの業者に引き渡していただく必要があります。
ただし、仮に引き渡した使用済みの機器が廃棄物に該当するものであった場合は、委託基準違反として排出者も罰則や命令の適用を受ける可能性がありますので御留意ください。
Q13.取引先の業者が有害使用済機器の保管等の届出を行っているか否かはどのように確認すればよいのか。
A13.有害使用済機器の保管場所(処分・再生の場所)として届出を行っている(又は届出不要となっている)か否かや、取り扱う有害使用済機器の品目及び保管・処分の方法を当該業者に確認する、管理者及び連絡先等の記載がある掲示板が設置されていることを確認する等によりお確かめください。掲示板は設置されているが明らかに環境保全措置が講じられていないなど、適正な処理が行われているか疑わしい場合は、必要に応じて所在地の都道府県又は政令市へお問い合わせください。
Q14.無届で有害使用済機器を保管している事業場を見つけたが、どうすればよいか。
A14.当該事業場が存在する都道府県又は政令市に御連絡ください。
まとめ
お分かりいただけましたでしょうか。
電化製品など、全体としては有価物でも有価部分を抜いた「ガワ」の部分を「有害使用済機器」といい、廃棄物に準ずる扱いをしなければならないということです。
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