新しい社員たちの奮闘で現場の雰囲気は明るくなりました。
が、ある日その社員のスケジュールボードに
「馬鹿野郎」
最初、誰が書いたのかわからなかったのですが、
よくよく聞くと番頭さんでした。
最初は
「仕事をなめるな!」
新人に怒ってましたが・・
そこで不満が爆発しすぎて矛先が妹に・・
「樋下家ばっかりいい思いしやがって」
と普段温厚で優しい彼からそのような言葉を
吐かれたとは信じられませんでした。
妹が涙ながらに
「そんなことはない。借金だらけや」
と必死で訴えましたが
従業員は私や父には本音を言わないと
いうことがよくわかりました。
この席には私も父もいませんでした。
そして現場社員からは
「営業は遊びだ」
と言う言葉も発せられ、
私が10年現場を離れて
営業している事は
「いつも遊んでいる」
という認識を
従業員にされていたがよくわかりました。
しかし
やっと彼らから本音が聞くことでき、
風通しのいい安全な会社になってきたと
嬉しくなったりもしました。
当時の私の夢は「株式上場」でした。
動機は「かっこいい」ということだけでした。
そしてこのような事件があり
自分の限界を知りました。
その後、友人の弟の社員と
(この社員は工場で寝泊まりもしていましたので)
いつも業務終了後、全社員が帰ると
「どうしたらこの会社もっとよくなるだろう」
と夜な夜な話をしてました。
その時にたまたま夏で窓を開けていると
隣の会社から盆踊りの音楽と笑い声が聞こえ、
その社員と家族が一緒に盆踊りしていたのを見ました。
本当にうらやましく思いました。
「社内で盆踊りをする あれが夢やな」
なんて話をしました。
ただ
「まぁ死ぬまでにできたらいいけど」
とも思っていました。